ごきげんよう!映画担当のうねです
映画にもいろいろあります
世の中にもいろんな人がいます
テンションが高い人と低い人 走る人と歩く人 男性と女性 大人と子ども
部屋から一歩外に出れば毎日たくさんの人を目にし、人生のなかでは多くの人と出会います
「また会いたい!」な人 「二度と会いたくない!」な人 「あれ?…誰だったけ?」な人…笑
中には「こんな人、今まで出会ったことない!」なんて人もいるでしょう
ということで、今日のテーマは「強烈な人と出会いたい時」
ご紹介するのは1950年のアメリカ映画、「イヴの総て」です!
「イヴの総て」(1950)はアカデミー賞のノミネート数が史上最も多く、その数14部門(内6部門受賞)。一般実写映画での部門数が18。いかに傑作であったか、数字が証明している。ちなみに最多受賞作は「ベン・ハー」「タイタニック」「ロードオブザリング 王の帰還」の3作品あり11部門受賞。どれも3時間を超える大作である。
円熟期を迎えた舞台女優マーゴ・チャニング 今夜も劇場は大きな拍手に包まれた
ステージをおりて楽屋で一息 友人や恋人は彼女をねぎらう
そこに一人の若い女性が訪れる
「感動ですわ!私、あなたの大ファンですもの」
彼女の名前はイヴ
美しくもつつましい態度、若くして夫を亡くした悲しい過去と身寄りのない境遇…
けなげで哀れな田舎娘の彼女を気に入った大女優は、自らの付き人として世話をすることにした
イヴは女優をよく支えた みながイヴをほめたたえた イヴはただただ謙虚にふるまった
そんな彼女の献身さが、女優にはだんだんと気に障るようになる
ある日、新作のオーディションに遅れて到着した女優は我が目を疑う
ステージに立って指導を受けていたのは、彼女の付き人だったはずのイヴだった…
……怖いですねー! まさに仁義なき女の闘い
この映画、一見ただのサクセスストーリーもの、女同士の争いものにも見えます
しかし、より注目したいのは映画における登場人物一人ひとり、その個性の描き方と
計算されたキャラクターに対する印象の変化、なんですね
大女優マーゴ・チャニングは映画の序盤から、その横柄なふるまいと皮肉めいた発言(そのセリフは大変ウィットに富みユーモアのセンスが抜群!このセリフを楽しむだけでも映画を観る価値がある)によりだんだんと孤立していきます
恋人にも愛想をつかされ、ボロボロになっていくマーゴ
マーゴを演じたのはハリウッド黄金期の女優の一人、ベティ・デイビス。印象的な顔立ちから「ベティ・デイビスの瞳」なんて歌も残されている。彼女主演作で私のおすすめは「何がジェーンに起こったか?」。怖い怖い映画です対して付き人のイヴは、その素直さと勤勉さで周囲の信頼と助力を得ていきます
なんとも対照的な二人ですが…
もちろん予想の斜め上をいく展開と圧巻のラスト!
映画を観ている最中も彼女たちへの印象は二転三転します
彼女二人だけでなく脇を固める俳優、女優陣も個性的なキャラクターとみごとな演技を見せてくれます
監督はジョゼフ・L・マンキーウィッツ
監督になる以前はプロデューサー・脚本家として、1930年代のハリウッドで多くの名作を残しました
そしてタイトルキャラクターのイヴを演じるのは、これまた黄金期大女優の一人、アン・バクスター
セシル・B・デミルの大作「十戒」ではエジプトの王女を演じた。本作でベティ・デイビスとともにオスカーにノミネート(受賞は逃した)。ヒッチコック監督の恐作「レベッカ」のスクリーンテストも受けている。…やはりとても田舎娘には見えない笑。ブロードウェイといえば、世界に冠たるアメリカの舞台演劇文化ですが、
この映画はそんな演劇界の、ドロドロで競争社会な裏側を初めて赤裸々に描いた作品なんですね
「イヴの総て」とは対照的に、ハリウッドという映画界の裏側を暴いた作品もあります
それがビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」
こちらも大大大傑作なので、今後当連載記事にとりあげようと思います
イヴが求めた生き方とマーゴが選んだ将来は、古今様々な名画に描かれてきた「人生のテーマ」を深く反映しています
成功を追い求めることが果たして正解なのか?(「市民ケーン」「きっと、うまくいく」)
一人の女性としていかに生きるか?(「風と共に去りぬ」「サンドラの週末」)
自分と他人 人間の評価をどう下すか(「アラバマ物語」「群衆」)
さまざまな登場人物が奏でるさまざまな音、さまざまな人生
あなたはどう感じるでしょうか
そしてふと考えてみるのもいいかもしれせん
「all about me、私の総て」とはいったい何をしめし、自分はどう表現しているかを…
ということで、本日の一本は1950年のアメリカ映画より、「イヴの総て」でした!
それではまた「○○な時に観る映画」でお会いしましょう!












