ウイスキーは蒸留酒です。
蒸留酒と聞くと「アルコールを蒸留して作るなら、味は同じでは?」と思うかもしれません。しかし実際には、ウイスキーは驚くほど味の違いが大きいお酒です。
同じスコッチでも、スモーキーなもの、甘いもの、フルーティーなものなど、まったく違う個性があります。
今回は、ウイスキーの味がなぜ違うのか、そしてスーパーなどで見かける安いスコッチの仕組みまで、わかりやすくまとめてみます。
スコッチウイスキーとは何か
スコッチウイスキーとは、スコットランドで作られるウイスキーのことです。ただし「スコットランドで作った」というだけではありません。

スコッチには厳しい法律があり、主に次のような条件があります。
・スコットランドで蒸留する
・スコットランドで熟成する
・オーク樽で最低3年以上熟成する
・アルコール度数40%以上
・基本的に添加物は禁止(色調整のカラメルのみ可)
このルールのおかげで、スコッチは世界の中でも品質の安定したウイスキーと言われています。
ウイスキーの基本構造

モルトとグレーン
ウイスキーは大きく分けて、2種類の原酒で作られます。
モルトウイスキー
大麦麦芽を原料に作られるウイスキーです。
ポットスチルという蒸留器を使うため、香りが強く個性的な味になります。
グレーンウイスキー
トウモロコシや小麦などを原料に作られます。
連続式蒸留器を使うため、軽くクセの少ない味になります。
この2つを組み合わせて作るのが、一般的なスコッチです。
多くのブレンデッドスコッチは次のような構成になっています。
グレーンウイスキー 70〜80%
モルトウイスキー 20〜30%
グレーンがベースになり、モルトが香りを作る役割を持っています。
蒸留酒なのに味が違う理由
ウイスキーの味が違うのは、蒸留だけでなく多くの工程が影響するからです。
主な要因は次の通りです。
原料
穀物の種類で味が変わります。
大麦麦芽
ナッツや麦の香り
トウモロコシ
甘い味
ライ麦
スパイシー
発酵
発酵はウイスキーの香りを作る重要な工程です。
酵母が発酵すると、次のような香り成分が生まれます。
フルーツのような香り
酸味
アルコールの複雑な風味
実はウイスキーの香りの多くは、この段階で決まると言われています。
蒸留
蒸留器の形や大きさによっても味が変わります。
ポットスチル
香りが強く残る
連続式蒸留器
軽い味になる
蒸留器の高さや形だけでも風味が変わるため、蒸留所ごとに個性が生まれます。
熟成
ウイスキーの味の大部分は熟成で決まります。
熟成に使われる樽にはいくつか種類があります。
バーボン樽
バニラの香り
シェリー樽
ドライフルーツのような甘さ
ワイン樽
果実のニュアンス
また熟成年数によっても味は大きく変わります。
3〜5年
若く荒い味
10〜12年
バランスが良い
18年以上
深い香り
安いスコッチはなぜ安いのか
スーパーなどで、1,000円台のスコッチを見たことがある人も多いと思います。例えば「Constable’s」のような安いスコッチです。
こうしたウイスキーが安い理由はいくつかあります。
グレーンの割合が高い
グレーンウイスキーは大量生産できるため、コストが低いです。
安いスコッチはグレーン比率が高くなります。
熟成年数が短い
スコッチは最低3年熟成すれば販売できます。
安いウイスキーは3〜5年の原酒が中心です。
ブランドコストがない
有名なウイスキーは広告費やブランド維持費が大きくかかります。
例えば
Johnnie Walker
Chivas Regal
などは、世界的なマーケティング費用があります。
一方で安いブランドは広告費がほとんどありません。
スコッチ業界の面白い仕組み
ウイスキー業界には「原酒市場」があります。
蒸留所は必ずしも自社ブランドだけを作っているわけではありません。余った原酒を他の会社に販売することもあります。
つまり
蒸留所
↓
原酒市場
↓
ブレンダー
↓
ウイスキーブランド
という構造があります。
そのため、安いスコッチの中に有名蒸留所の原酒が少し混ざっている可能性もあります。
またブレンデッドウイスキーは、1本の中に20〜30種類の原酒が使われることも珍しくありません。
スコッチを買えば間違いない?
スコッチは法律が厳しいため、平均的な品質は高いと言われています。
ただし、必ずしも一番おいしいというわけではありません。
ウイスキーにはいくつかのスタイルがあります。
スコッチ
スモーキーで複雑
バーボン
甘くバニラの香り
アイリッシュ
軽く飲みやすい
ジャパニーズ
バランスが良い
最終的には好みの問題になります。
ウイスキーの面白さ
ウイスキーの魅力は、同じ蒸留酒でも味の世界が非常に広いことです。
原料
発酵
蒸留
熟成
ブレンド
このすべてが組み合わさることで、世界中に何千種類ものウイスキーが存在します。
安いウイスキーにも、高級ウイスキーにも、それぞれの背景やストーリーがあります。
もし次にウイスキーを選ぶときは、ラベルの裏側にあるこうした仕組みを少し思い出してみると、きっと味わい方も変わってくるはずです。